(西安京の桜を全て咲かせてから話し掛ける)
花咲爺
「来た…」
花咲爺
「ついに来たダニ!」
花咲爺
「…ほんの僅かダニが―」
花咲爺
「都に花が咲き零れ
ワシに力を貸してくれてるダニ!」
花咲爺
「これならあの舞で怨霊を祓い―」
花咲爺
「呪われた桜の木に花を咲かせる事が
出来るダニよ!」
花咲爺
「わんコロ…お待ちかねの我が絶技―」
花咲爺
椿神楽を舞う時が来たダニ」
花咲爺
「その舞を拝みたければ
ワシの後に付いて来るダニよ!」
花咲爺
「…では絶技椿神楽」
花咲爺
大爆走ダニ!
(成功)
花咲爺
「ふぅ…」
花咲爺
「何とか上手く行ったようダニ!」
花咲爺
「…我武者羅に舞を舞ったダニが―」
花咲爺
「実を言うと怨霊を祓う自信なんて
なかったダニよ」
花咲爺
「…でも都のみんなが喜ぶ顔を
想像したら―」
花咲爺
「何としてでも
花を咲かせたくなったダニ」
花咲爺
「ワシの椿神楽に花を咲かせる力が
あったのか―」
花咲爺
「それとも神さまが助けてくれたのか…
それはどっちでもいいダニ」
花咲爺
「都の桜が蘇って―」
花咲爺
「それでみんなが幸せになってくれたら
言う事ないダニ!」


花咲爺
「…どうダニこの満開の桜たち!」
花咲爺
「都の桜が蘇って―」
花咲爺
「それでみんなが幸せになってくれたら
言う事ないダニ!」



(失敗)
花咲爺
「だめダニ〜!!」

花咲爺
「さ…さっきのは
ちょっと調子が悪かったダニ!」
花咲爺
「本当はワシが椿神楽を舞ったら―」
花咲爺
「その木にパァ〜ッと
花が咲くはず
ダニ!」
花咲爺
「…怨霊の呪いは予想以上に手強いダニ」
花咲爺
「しかし然る花名人から学んだ
絶技椿神楽を信じ―」
花咲爺
「何度でも舞い続けるダニ!」


花咲爺
「…ワシが一度椿神楽を舞えば―」
花咲爺
パァ〜ッと花が咲き零れるはずダニ!」
花咲爺
「ワシの舞で
木に取り憑いた怨霊を祓って―」
花咲爺
「都中の桜を満開にするダニよ!」
花咲爺
「わんコロ…お前が見たがっていた
我が絶技―」
花咲爺
「その舞を拝みたければ
ワシの後に付いて来るダニよ!」
花咲爺
「…では絶技椿神楽」
花咲爺
大爆走ダニ!


(椿神楽を舞ってから話しかける)
桜子
「どうしよう…どうしよう!」
桜子
「おっ父が…
おっ父がまた気を失っちゃった!」


桜子
「おっ父が…
おっ父がまた気を失っちゃった!」
桜子
「今度こそ…
天のお迎えが来てしまったの!?」


おっ父
「……」
イッスン
「じ…じいさん
目ェ瞑ってどうしたんだィ!?」


おっ父
「……」
イッスン
「…じいさん外を見ろィ!
さ…桜が満開だろォ!?」
イッスン
「こんな絶好の花見日和に
ポックリ天になんか昇るんじゃねェ!」
イッスン
「目ェ覚まさねェと…ガツンと一発
キツいのをお見舞いするぜェ!」


(おっ父に頭突き)
おっ父
「ホヒャア!?」
おっ父
「ひ…人が耐え忍んでいるのに
何をするんじゃ!」
おっ父
「しかしこうなったら
もう我慢できんわい…!」
おっ父
「鼻をくすぐるこの甘い風…
西安京の桜は満開じゃ!」
おっ父
「花見じゃ花見じゃ!
ひと踊りじゃあ!」
(走り去るおっ父)
イッスン
「い…行っちまったぜェ」
イッスン
「こりゃ一体どうなってんだァ?」


桜子
「そうだわ…忘れてた」
桜子
「おっ父にはもう一つ
絶対に治らない病気があったっけ…」


桜子
「私のおっ父…
大の花見好きなの」
桜子
「毎年大騒ぎし過ぎて腰を痛めるから
私が花見禁止の約束をしたのよ!」
桜子
「あの病気が再発するなんて…!」


おっ父
「ホッヒャッヒャア!」
おっ父
「花見じゃ花見じゃ!
ひと踊りじゃあ!」
おっ父
「ホレワン子!
お前も一緒に踊らんか!」
イッスン
「じいさん…病み上がりで
こんなにはしゃいで大丈夫かァ」


おっ父
「ホッヒャッヒャア!」
おっ父
「花見じゃ花見じゃ!
ひと踊りじゃあ!」
おっ父
「ホレワン子!
お前も一緒に踊らんか!」
イッスン
「じいさん…桜が枯れて寝込むほど
花見が好きだったのかィ」
イッスン
「…この病気はもう治りそうもないぜェ」

(頭突き)
おっ父
「ホヒャッ
そうじゃ騒げ踊れぇ!」


(空の建物の門番に近付く)
カモノ
「…うん?」
カモノ
「もしかしてお主…
アマテラス殿か?」
イッスン
「何ィ?」
イッスン
「…アンタどうしてこいつの名前を
知ってるんだァ?」
カモノ
「あっ!
…お前がゴムマリ君!」
カモノ
ウシワカ隊長が話してた通りの
仲良し二人組だな!」
イッスン
「だ…誰がゴムマリだィ!」
イッスン
「…ちょっと待てよォ
今ウシワカ隊長って言ったかァ?」
イッスン
「何だいその隊長ってのはよォ?」
カモノ
「我々は女王ヒミコさま直属の
特殊諜報部隊―」
カモノ
「陰陽師特捜隊
…略して陰特隊である!」
『 陰陽師特捜隊 カモノ隊員 』
イッスン
「陰特隊…?」
イッスン
「…何だかイカガワしい響きがするぜェ」
カモノ
「そしてここが我々陰特隊の
本部なんだが―」
カモノ
「ウシワカ隊長は今
特命を受けて行動中のため留守でな…」
カモノ
「…しかし貴殿らの事は
ウシワカ隊長から聞いておる」
カモノ
「本部の中を見学されたければ
ご自由にとの事だ」
イッスン
「あのインチキ野郎…やっぱりこんな
妙チクリンな事をしてやがったなァ?」
イッスン
「…中を見てもいいって言うからには
準備万端なんだろうぜェ」
イッスン
「もしかしたら
何かの罠かも知れないし―」
イッスン
「アマ公…気を付けろよォ!」


カモノ
「ウシワカ隊長は
いつも忙しいお方でな…」
カモノ
「ほとんどどこかへ出かけて
おられるか―」
カモノ
「…たまに帰って来ても
一日中机に向かっておられるのだ」
カモノ
「本部にある机にはいつも
不思議な絵が映し出されているが―」
カモノ
「…ウシワカ隊長しか操る事が出来ぬ故
我々にはさっぱり分からぬ」
カモノ
「隊長は実に不思議なお方だ…」

(頭突き)
カモノ
「ぬおっ!?」


(陰特隊の中を調べる)
イッスン
「こいつは…ずいぶんと
迫力がある石像だけど―」
イッスン
「あのインチキ予言野郎の事だァ
きっと紛い物に違いねェや」


イッスン
「こいつはァ何かのカラクリかァ?」
イッスン
「こんなモンを隠し持ってるなんて
あの野郎…ますます怪しいぜェ!」


アベノ
「困った困った…
マジ困ったッスよぉ!」
イッスン
「な…何だァ!?」
アベノ
「ちょっと
聞いてくれるッスか!?」
アベノ
「実はオレ…
ずっとウシワカ隊長に憧れてて―」
アベノ
「特訓に特訓を重ねて
この前やっと陰特隊に入れたんスよ!」
アベノ
「まだまだピチピチの
新米陰特隊員ッス!」
『 新米陰特隊員 アベノ 』
イッスン
「あのインチキ野郎に…憧れてただァ?」
イッスン
「…ケェッ!
そりゃ困ったィモンだィ」
アベノ
「ち…違うッス!」
アベノ
「困ってるのはその後の事ッスよぉ!」
アベノ
「オレ…まだ入って数日の
新米だってのに―」
アベノ
「一人一つしか支給されない備品
陰特仮面をなくしちまったんスよぉ!」
イッスン
「備品の…陰特仮面?」
イッスン
「あァ表の奴も被ってた
あのヘンな目飾りかァ?」
イッスン
「…別にどうでもいいじゃねェか」
アベノ
「駄目ッスよぉ!」
アベノ
「…あのお面がないと隊長に
メチャクチャ怒られるんスから!」
イッスン
「あのインチキ野郎…
意外とつまらねェ事にこだわってンな」
アベノ
「みんなに見せびらかしたくて
お面を付けて街に出た時に―」
アベノ
「…妙な男がぶつかって来たんス」
アベノ
「絶対あの時スられんスよぉ!」
イッスン
「面をスられたら気付くだろォ普通…」


アベノ
「一人一つしか支給されない備品
陰特仮面をなくすなんて―」
アベノ
「あれがないと…隊長に
メチャクチャ怒られるッスよぉ!」
アベノ
「ねぇアンタたち…街へ出て
お面を探して来てくれないッスか!?」
アベノ
「オレは持ち場を離れられないし…
他に頼む人もいないんス!」
アベノ
「ねぇ頼んまスよぉ!
もしも見つけて来てくれたら―」
アベノ
ウシワカ隊長の秘密を
教えるッスからぁ!」

(頭突き)
アベノ
「な…何すんスか!?」


(貴族街に移動)

都の男(常に最後尾)
「オレの順番まだかなぁ」
都の男
「霧は晴れたかも知れないけど―」
都の男
「オレの心のモヤモヤは
ちっとも晴れないよ!」
都の男
「早くツヅラオさまのお顔を
拝見したいなぁ」


都の男
「オレの順番まだかなぁ」
都の男
「…気のせいかオレって
いつも列の後ろにいないかい?」


都の男(羽織)
「ツヅラオさまは
法力だけじゃなく武術もたしなむんだ」
都の男
「前に妖怪どもを蹴散らすさまを
見た事があるんだが―」
都の男
「…それはもう鮮やかなもんだった」
都の男
「ツヅラオさまがいれば
怖いものなしさ!」


都の男
「ツヅラオさまの
武術は大したもんだぜ」
都の男
「前に妖怪どもを蹴散らすさまを
見た事があるんだが―」
都の男
「…それはもう鮮やかなもんだった」
都の男
「ツヅラオさまがいれば
怖いものなしさ!」


都の男(太)
「あの妙な霧がスッカリ
なくなったと思ったら―」
都の男
「持病の腰痛がウソみたいに
治っただよ」
都の男
「やっぱりオラたちを救ってくれるのは
ツヅラオさましかいねぇだよ!」


都の男
「これからはツヅラオさまの時代だ!」
都の男
「やっぱりオラたちを救ってくれるのは
ツヅラオさましかいねぇだよ!」


都の女
「いつの間にか霧が晴れて…
何だかさっぱりしたねぇ!」
都の女
「それにしても…ヒミコさまは
まだお顔をお見せにならないんだよ」
都の女
「…いつまでも神殿の中で
何をやってるんだい?」
都の女
「こう言っちゃ何だけど…
何だか気味が悪いねぇ」


都の女
「ヒミコさまはいつまでも神殿の中で
何をやっているのかねぇ」
都の女
「こう言っちゃ何だけど…
何だか気味が悪いねぇ」


ツヅラオ
「アマテラス殿…
急に都の霧が晴れたのに気付いたか?」
ツヅラオ
「…もしや宝帝に
何か変化があったのでは…」
イッスン
「変化も何もオイラたちが一生懸命
アレコレしてだなァ―」
イッスン
「…あれェ?」
イッスン
「そう言やボイン姉…
どうして宝帝を放っておいたんだィ!」
イッスン
「アンタの法力なら霧の元凶くらい
見通せたはずだぜェ!」
イッスン
「…やっぱりアンタ…ヒミコと組んで
何か悪さを企んでるんじゃ―」
ツヅラオ
「いや…確かにそれは
我の失態であった」
ツヅラオ
「…しかし我とて一介の尼僧に過ぎぬ」
ツヅラオ
「帝の屋敷を調べるなど
よほどの事がなくてはな…」
ツヅラオ
「ともかく貴殿らの働きで
霧が晴れたのなら見事と言う他ない!」
ツヅラオ
「さてこの問題が解決したとなれば
後は…」


ツヅラオ
「貴殿らの働き実に見事であった」
ツヅラオ
「しかし…海原を荒らし回る水龍は
宝帝の騒ぎどころではない」
ツヅラオ
「あのままでは貿易船も航海出来ず
都の食料もいずれ底を突く…」
ツヅラオ
「闇に蠢く妖魔の影は
未だその勢いを潜めてはいないのだ」
ツヅラオ
「…こんな時にあの神器が―」
ツヅラオ
「神器キツネ管が我が手にあれば…!」


虚無僧
「白きオオカミよ…」
虚無僧
「たとえ人々の顔に
笑顔が戻ろうとも―」
虚無僧
「この世から苦しみが
完全に消える事など決してないのだ」
虚無僧
「ワシはひとまずここで旅を休み―」
虚無僧
「生きる事に苦しむ者…
また死して尚苦しむ者のために―」
虚無僧
「…念仏を唱え続けるとしよう」
虚無僧
「行く道は違えど理念は同じ―」
虚無僧
「お主の行く先に
御仏の大慈があらんことを……!」


衛兵(左)
「あ…また来たねオオカミくん!」
衛兵(左)
「宝帝様がお前の事を
気に入ったみたいで―」
衛兵(左)
「ここは自由に出入りさせるよう
言われてるんだ!」
衛兵(左)
「お前…オオカミのくせに
白い毛並みなんて珍しいけど―」
衛兵(左)
「宝帝さまは世の中の珍しいものが
大好きだから気に入られたのかな?」


衛兵(右)
「おお来たか白オオカミ!」
衛兵(右)
「宝帝さまが元気になってからは
警備の仕事も気が楽になったよ」
衛兵(右)
「…やはり仕えるなら
正しい心の主君さまがいいものなぁ」
衛兵(右)
「都も活気付いて来たようだし
…全部お前のお陰だな!」
衛兵(右)
「幸運を呼ぶオオカミか…
宝帝さまがかわいがるのも分かるわ」


衛兵(右)
「宝帝さまの宝物を見せてもらったか?」
衛兵(右)
「帝さまが集めた宝物は
その辺にあるものとはワケが違う」
衛兵(右)
「國中から集めた秘宝中の秘宝…
お金じゃ買えないものばかりだよ」
衛兵(右)
「何かと交換に
おねだりしてみたらどうだ?」


貴族の男
「おお犬よ聞いてくれ!」
貴族の男
「我らが主君宝帝さまの病が
治ったと言うではないか!」
貴族の男
「しかも昔のように
優しい帝さまに戻られたとか…」
貴族の男
「ううう…良くぞ…良くぞ!」


貴族の男
「…しかし宝帝の病が治ると共に
都を覆う霧が晴れ渡るとは―」
貴族の男
「きっと帝さまは悪い妖魔に
憑り付かれていたに違いない!」
貴族の男
「宝帝の病が治られて―」
貴族の男
「我ら官吏一同誠に喜ばしい事よ!」


貴族の女
「ウフフ…」
貴族の女
「あんなに嬉しそうな夫の顔は
久しぶりですわ」
貴族の女
「今となっては私たちは
宝帝に仕える身分ですが―」
貴族の女
「子供の頃夫と帝さまは
良き友人同士だったと聞きました」
貴族の女
「帝さまのご病気が治って
一番嬉しいのはきっと主人でしょうね」


貴族の女
「帝さまのご病気が治られてから
都を覆う霧はすっかり晴れ―」
貴族の女
「私の体の具合も
快方に向かっていますの」
貴族の女
「…ようやく以前のような
生活に戻る事が出来そうですね」


貴族の女
「せっかく宝帝の
ご病気が治られたのだから―」
貴族の女
「主人と一緒に
ご挨拶にでも行こうかしら?」


親衛隊
「犬…お前もしつこい奴だな」
親衛隊
「確かに眼前のタタリ場は
なぜだか急に消えてしまったが―」
親衛隊
「…しかしこの両島原には
未だ妖しき気配が蠢いておる」
親衛隊
「我ら親衛隊
ヒミコさまには指一本触れさせぬ覚悟」
親衛隊
「我らはどのような妖術にも
決して惑わされんぞ!」
イッスン
「まったく…役人ってのはどいつも
口を揃えて同じ事ばかり言いやがらァ」
イッスン
「まァ妖術で惑わねェかどうかは
知らねェが―」
イッスン
大神サマの筆業でも
惑わずにいられるかァ?」


(神殿左の部屋を調べる)
イッスン
「琴に三味線…
ずいぶん雅やかな部屋だぜェ」
イッスン
「ここは物置部屋に
なってるみてェだなァ」

(神殿右の部屋を調べる)
イッスン
「…お宝がたくさん
大事に保管されてるぜェ」
イッスン
「少しくらいネコババしても
バチは当たらねェよなァ?」


ヒミコの侍女
「おおこれはこれは…」
ヒミコの侍女
「我らが主君ヒミコさまは
すべてお見通しです」
ヒミコの侍女
「さぁこんな所に長居はご無用
早くヒミコさまの待つ最上階へ!」
イッスン
「ヒミコが…待ってるだってェ?」
ヒミコの侍女
「もしも貴方たちが
真にヒミコさまの求める方ならば―」
ヒミコの侍女
「煮え滾る炎の海など
何の障害にもならないでしょう」

(頭突き)
ヒミコの侍女
「や…やめて下さいませ」


(溶岩に近付く)
イッスン
「うわっとっとォ!」
イッスン
「こ…こりゃ一体何の真似だァ!?」
イッスン
「屋敷の中に溶岩溜まり
あるじゃねェか!」
イッスン
「…こんな所に落ちたら
いくら大神サマでも―」
イッスン
「アッと言う間に消し炭だぜェ!」
イッスン
「…なァんてよォ」
イッスン
「この程度で大神サマが
引っ込むとでも思ってんのかィ!」
イッスン
アレをチョイチョイっと装備すりゃ
…なァ?」
イッスン
「とにかくヒミコの野郎…
こんなものまで用意するたァ―」
イッスン
「よっぽど人を寄せ付けたくない理由
あるようだなァ?」
イッスン
「アマ公…用心して進むんだぜェ!」


(御簾に近付く)
イッスン
「やいやいやい!」
イッスン
「部屋に閉じこもって
妙チキリンな祈祷をしてるって噂の―」
イッスン
「女王ヒミコだなァ!?」
イッスン
「ヘッへ警備が厳重でちいっとばかり
苦労したけど―」
イッスン
「ついにここまで辿り着いたぜェ!」
(ひと吠えするアマテラス)
イッスン
「おうアマ公
お前も言ってやれェ!」
???
「慈母アマテラス大神…
貴殿のご来訪をお待ちしておりました」
???
「そして…旅絵師イッスン
そなたの事もな」
(戦闘態勢を解くアマテラス)
イッスン
「…何でオイラたちの名前を…!?」
イッスン
「そ…そうかィそこまで調べが
付いてんなら話は早ェや」
イッスン
「都の霧騒ぎに海の水龍…
みんな大騒ぎなのもご存知だよなァ?」
イッスン
「お前が何を企んでるのか…ぜェ〜んぶ
説明してもらおうじゃねェか!」
???
「……」
???
「…グスッ」
???
「都の民の苦しみ…妾にも痛いほど
伝わって来るでおじゃる」
???
「病に冒され龍の腸で溶かされ…」
???
「痛苦の絶叫が激流のように
押し寄せて来るでおじゃる!」
???
「ウウウッ!」
(泣き崩れる人影)
イッスン
「わ…分かったぞォ」
イッスン
「お前そうやって人間たちを
苦しませて―」
イッスン
「その怨嗟の念を喰らってる
妖怪だなァ!?」
イッスン
「そんな煤けた蚊帳の向こうで
三文芝居してねェで―」
イッスン
「いい加減観念して
正体を現しなァこの妖怪ババァ!!」
???
「……」
???
「イッスンよ
妖怪ババァとは随分な言い様じゃな」
???
「しかし顔を隠したままお迎えするとは
確かに無礼でおじゃった」
???
「慈母アマテラス大神…
この西安京の長ヒミコ御前に額突き―」
???
「謹んでお詫び申し上げまする」
(こちらを向き額付く人影、同時に御簾が上がって行く)
『 西安京女王 ヒミコ 』
イッスン
「……」
(ハートを散らしてアマテラスの頭から滑り落ちるイッスン)
ヒミコ
「長として…都の民が苦しんでいる時に
安閑と過ごせるはずなどありませぬ」
ヒミコ
「このヒミコ…西安京に影を落とす
悪しき物どもを退治するべく―」
ヒミコ
「毎日ここで祈祷を続けておりました」
ヒミコ
「おぞましき物の怪どもの牙城
鬼ヶ島の行方を突き止めるために!!」
イッスン
「よ…妖怪どもの牙城だァ?」
イッスン
「それが都の騒ぎの
元凶だってのかよォ?」
イッスン
「…でも鬼ヶ島だかニョゴヶ島だか
知らねェけど―」
イッスン
島の行方ってのはどういう事だィ?」
イッスン
「その島は何かァ? 船みたいにどこかへ
行っちまうってのかィプカプカとよォ?」
ヒミコ
「鬼ヶ島は神出鬼没―」
ヒミコ
毎日日暮れと共に忽然と姿を消し
全く別の場所に移動する
のじゃ」
ヒミコ
「広い海原の何処に現れるのかも
見当が付かず―」
ヒミコ
「…それ故兵を差し向けたくとも
そこに辿り着く事さえ適わぬありさま」
イッスン
「フゥン…」
イッスン
「でも…だからって
こんな部屋に閉じこもって―」
イッスン
「日がな一日お祈りなんかしてたって
埒が明かねぇだろォ?」
(立ち上がり巨大な水晶玉を掲げるヒミコ)
イッスン
「や…野郎やる気かァ!?」
ヒミコ
「秘宝千里水晶
ヒミコ
「悠久の太古よりこの西安京を
治めてきた我らヤマタイ一族…」
ヒミコ
「その先祖伝来の什宝千里水晶は
如何なる未来をも教えてくれるのじゃ」
ヒミコ
「貴殿らがこの西安京を
訪れる事も…そして―」
ヒミコ
鬼ヶ島が現れる海域も」
イッスン
「ほ…ほォ〜」
イッスン
「そんな便利な物があるならサッサと
鬼ヶ島の位置を調べたらどうだィ」
ヒミコ
「鬼ヶ島ほどの敵の牙城を暴くには
水晶に多くの法力を注がねばならぬ」
ヒミコ
「そしてそのためのこの祈祷が
物の怪どもに知れたら―」
ヒミコ
「奴らはどんな手を使ってそれを
阻もうとするか知れたものではない」
ヒミコ
「だから今はこうして身を潜め
一筋に祈祷を続けるほかないのじゃ」
ヒミコ
「もっとも…もう敵の尖兵が
差し向けられているかも知れぬがな…」
イッスン
「……」
イッスン
「良く出来た話だけど―」
イッスン
「ま…まァオイラは
ヒミコ姉の事信用してやるぜェ」
イッスン
「カワイイ姉ちゃんの嘘と乳には
抱かれろって言うからなァプフフフフ!」
(ヒミコに近付いて結界に弾かれるイッスン)
イッスン
「や…やりやがったなァ…」
ヒミコ
「これこれ!
今の妾に近付いてはならぬ!」
ヒミコ
「妾がこの千里水晶を手にすれば―」
ヒミコ
妾の周りには如何なる厄難をも
跳ね返す強力な結界が生じる
のじゃ」
ヒミコ
「…不用意に近付こうものなら
そのように天罰を受ける事になるぞよ」
ヒミコ
「この千里水晶は妾の命綱…」
ヒミコ
「たとえ我が祈祷が
妖魔に気取られようとも―」
ヒミコ
「この強固な結界の力が
鍔際で妾を守ってくれる事であろう」


ヒミコ
「アマテラス大神…改めて貴殿に
懇望致したき事がおじゃります!」
ヒミコ
「妾の…都の民の願い
どうか聞き届けてたもらぬか!?」
(取り敢えず… 聞くだけ聞く)
ヒミコ
「海の太平を脅かす巨大な水龍―」
(聞きたくない)
ヒミコ
「そ…そこを何とか!!」
ヒミコ
「あれがなぜ突然
暴れ出したのか分かりませぬが…」
ヒミコ
「元来水龍は
海原の安寧秩序を司る海の神」
ヒミコ
「害を成すからと言って
あれを退治ては逆に乱を招きまする
ヒミコ
「いえ…それどころか水龍無くして
鬼ヶ島へは渡れない
のでおじゃります」
イッスン
「そ…そりゃどういう意味だィ」


イッスン
「…何だいもったいぶらずに
さっさと続きを話しなよォ!」
ヒミコ
鬼ヶ島へ渡るカギはあの水龍に
おじゃります
…と言うのも―」
ヒミコ
「たとえ千里水晶で鬼ヶ島の行方を
突き止める事が出来たとしても―」
ヒミコ
「…今度は鬼ヶ島の強力な結界
我らを阻むでおじゃりましょう」
ヒミコ
「その結界を破ろうと策を弄しても
返り討ちに遭うのが関の山…」
ヒミコ
「しかし! 海神水龍ならば
鬼ヶ島の結界を容易く打ち破り
―」
ヒミコ
本土と鬼ヶ島を繋ぎ止める希望の
掛け橋
になり得るのでおじゃります!」
イッスン
「…つまりアンタが鬼ヶ島の場所を暴き
水龍がその結界を破る
…」
イッスン
「それが敵の牙城を切り崩す
唯一の手立てってワケだァ」
イッスン
「…でもあんなに
大暴れしてる水龍が―」
イッスン
「ハイ合点と協力するのかよォ?」
ヒミコ
「…それが慈母アマテラス大神に
お願いしたいところなのでおじゃります」
ヒミコ
貴殿の力で猛り狂う水龍を鎮め
我らの味方に付けては
たもらぬか?」
ヒミコ
「このヒミコ祈祷の大儀ある故に
ここを離れられぬ身…」
ヒミコ
「もはや貴殿を措いて
頼りはないのでおじゃります!」
イッスン
「な…何だとォ!?」


イッスン
「…ちょっと待ちなィ
あの暴れん坊水龍を手懐けろだァ?」
イッスン
「そりゃカワイイ姉ちゃんのお願いなら
オイラにゃ断れねぇけど―」
イッスン
「このアマテラス大先生が
首を縦に振らねぇんじゃどうにも…」
イッスン
「…でどうなんですかィ大先生?
ヒミコ姉のお願い聞くんですかィ?」
(ヒミコのお願いを… 聞いてあげる)
イッスン
「いやァ残念!
アマテラス大先生がそう言うんじゃ―」
イッスン
「な…何ィ!?
イッスン
「アマ公お前…今何て!?」
ヒミコ
「おお…アマテラス大神
何と慈悲深き事でおじゃりましょう!」
ヒミコ
「…ではこのカンモン砦のカギ
お渡し致しまする故―」
ヒミコ
「カンモン砦を越え
その先の地へ向かってたもれ」
(聞きたくない)
ヒミコ
「そ…そこを何とか!!」

イッスン
「…ちょっと待ちなィ
あの暴れん坊水龍を手懐けろだァ?」
イッスン
「そりゃカワイイ姉ちゃんのお願いなら
オイラにゃ断れねぇけど―」
イッスン
「このアマテラス大先生が
首を縦に振らねぇんじゃどうにも…」
イッスン
「…でどうなんですかィ大先生?
ヒミコ姉のお願い聞くんですかィ?」
『 カンモン砦のカギをもらった! 』
ヒミコ
「カンモン砦を越えた先の海には
龍を操ると言われる海の民―」
ヒミコ
龍神族の國がありまする」
ヒミコ
「海神水龍が暴れ始めたのには
龍神族が何か関係しているはず…」
ヒミコ
「水龍乱心の謎を突き止め
鬼ヶ島への天つ橋を架けてたもれ!」


ヒミコ
「おお…
我らが慈母アマテラス大神!」
ヒミコ
「そのカギでカンモン砦を越え
その先の地へ向かってたもれ」
ヒミコ
「砦を越えた先の海には
龍を操ると言われる海の民―」
ヒミコ
龍神族の國がありまする」
ヒミコ
「海神水龍が暴れ始めたのには
龍神族が何か関係しているはず…」
ヒミコ
「水龍乱心の謎を突き止め
鬼ヶ島への天つ橋を架けてたもれ!」


(頭突き)
ヒミコ
「アマテラス大神ご心配なく…」
ヒミコ
「ご覧のように並の妖力では千里水晶の
鉄壁の結界を破る事は出来ませぬ」


(ヒミコの部屋を出ようとする)
イッスン
「アマ公! …まったくお前は
また安請け合いしやがってよォ!」
イッスン
「…とにかくあの水龍を操ってる連中が
いるってのは分かったから―」
イッスン
「その龍神族の國ってのに
行ってみるかァ?」


ヒミコの侍女
「我らが慈母アマテラス大神…」
ヒミコの侍女
「主君ヒミコさまの願い
どうか…どうかお聞き届け下さい!」


(ヒミコの神殿から出ようとする)
親衛隊
「ムムム!
犬めどこから中へ入ったというのだ!?」
親衛隊
「我らの鉄壁の守りをすり抜けるとは―」
親衛隊
「これではヒミコさまに申し訳が立たん!」
親衛隊
「…とにかく犬め
さっさと屋敷から出てゆけ!」


親衛隊
「我らはヒミコさまの親衛隊」
親衛隊
「ヒミコさまはこの先の神殿で
都のために御祈祷を捧げておられる」
親衛隊
「その間は誰も中に入れぬよう
仰せつかっている故―」
親衛隊
「犬一匹とて
ここを通る事まかりならん!」


親衛隊
「…そう言えば
我らの前に現れたあの美しい霧―」
親衛隊
「あれは実に心癒される霞だった…」
親衛隊
「うっかり警備の手を緩めてしまうほどにな」


イッスン
「よォボイン姉!」
イッスン
「チラッとヒミコ姉に会ったんだけど―」
イッスン
「…まァ悪者じゃなさそうだなァ
あの顔はよォ」
ツヅラオ
「何と…ヒミコさまへの
お目通りを許されたのか!?」
ツヅラオ
「それはそれは…近頃は我とて
お会いする機会がないのだぞ」
ツヅラオ
「…ともかく顔色がよろしいのならば
何よりだ!」


ツヅラオ
「ヒミコさまがつつがなくおられるのは
何よりの事」
ツヅラオ
「…しかし海原を荒らし回る水龍は
今も暴虐の限りを尽くしていると聞く」
ツヅラオ
「このままでは貿易船も航海出来ず
都の食料もいずれ底を突く…」
ツヅラオ
「闇に蠢く妖魔の影は
未だその勢いを潜めてはいないのだ」