(貴族街へ行こうとする)
イッスン
「この先の橋を渡った向こうには
都のお偉い方たちが住んでいて―」
イッスン
「立派なお屋敷が
一杯立ち並んでるんだぜェ」
イッスン
「その中でも一際デカい建物が―」
イッスン
「ナカツクニを治める
女王ヒミコの神殿さァ」
イッスン
「…まァどんな婆さんが
鎮座してるんだか知らねェが―」
イッスン
「都中が妙な霧に包まれてるってのに
何をやってるんだァ?」
イッスン
「大体女王って響きが
胡散臭いってンだ!」


(水路に水を戻す前に話し掛ける)
ベンケイ
「ウムムム…」
ベンケイ
「湖の水が全くなくなってしまうとは…」
ベンケイ
ブツブツブツ
ベンケイ
「…何だ犬?
この五条大橋を渡りに来たのか」
ベンケイ
「ならぬぞ!
今この橋を繋いでやる事は出来ぬ!」
ベンケイ
「この五条大橋は
カラクリが仕込まれた自在橋で―」
ベンケイ
「我の号令一つで
繋ぐも切り離すも自由自在だ」
ベンケイ
「…しかし今は訳あって
この橋を動かす事は出来ぬのだ!」


ベンケイ
「しつこい犬め!
今この橋を繋いでやる事は出来ぬぞ!」
ベンケイ
この湖に水が蘇り
幻のアレを手に入れるまで…ブツブツ」

(頭突き)
ベンケイ
「ウムッ!?」


(水路に水が戻ってから話し掛ける)
ベンケイ
「フフフ…
来た…ついに来たぞ」
ベンケイ
「この太公望ベンケイ
千本目の刀を手にする時が!」
『 放浪の破戒僧 ベンケイ 』
ベンケイ
「某は名立たる剣豪と腕比べをしながら
諸國を漫遊し―」
ベンケイ
「999本の刀をこの手に収めた」
ベンケイ
「だが…武芸を売りにする者は
粗方倒してしまった故―」
ベンケイ
「あと一本で千本目! …というところで
記録が止まっていたのだ」
ベンケイ
「そうして某は
あてもないまま放浪していたのだが―」
ベンケイ
「ある噂が某をここ西安京に
呼び寄せた…」
ベンケイ
「この美輪湖に眠る
生きた刀の噂がな!」


ベンケイ
「この美輪湖に纏わる噂話を
知らんのか?」
ベンケイ
「某もにわかに
信じられぬ事なのだが―」
ベンケイ
「この湖には生きた刀がいて―」
ベンケイ
水の中を自由に泳ぎ回っている
言うではないか!」
ベンケイ
「それが真ならば…
千本目を飾るに相応しい刀だ!」
ベンケイ
「この五条大橋は
カラクリが仕込まれた自在橋で―」
ベンケイ
「我の号令一つで
繋ぐも切り離すも自由自在だが…」
ベンケイ
「見ての通り
今は丁度良い釣り場になっておる」
ベンケイ
「よって都の者たちには悪いが―」
ベンケイ
「この橋は暫く下ろしたまま
某はその生きた刀を狙うのみよ!」
ベンケイ
「…とは言ったものの
ウムムムム…」


ベンケイ
「某が今より挑もうとしているのは
ただの釣りではない」
ベンケイ
生きた刀との腕比べ…
つまり真剣勝負なのだ!」
ベンケイ
「…となると某もそれに相応しい得物で
挑まねばなるまい」
ベンケイ
「例えば街の道具屋に売られていた
あのサオ―」
ベンケイ
「…あれは実に見事なものだった!」
ベンケイ
雪のように純真無垢なあの色合い―」
ベンケイ
「あのようなサオでなければ
この勝負勝つ事は出来ぬ!」
ベンケイ
「…とは言ったものの
今の某には先立つものがないのだ」
ベンケイ
「さてどうしたものか…
ウムムムム」
(雪宗を持っていると)
ベンケイ
「…ウムッ?」
ベンケイ
「そそそ…それは
街の道具屋で売っていた―」
ベンケイ
名竿 雪宗ではないか!!」
ベンケイ
「そのサオなら…」
ベンケイ
「そのサオなら生きた刀と互角…
いやそれ以上の勝負が出来る!」
ベンケイ
「でかした犬!
さぁそれを某に寄越すのだ!」

(名竿 雪宗を… 絶対あげない)
ベンケイ
「な…何だと犬!」
ベンケイ
「お主某の話を聞いていたのか!?」
ベンケイ
「記念すべき千本目の刀が
懸っているのだぞ!」


ベンケイ
「おい犬!
つまらぬ意地を張るのはよせ!」
ベンケイ
「その名竿 雪宗ならば
幻の生きた刀と互角に渡り合う事が出来る」
ベンケイ
「我が千本目の刀のために―」
ベンケイ
「そのサオを某に寄越さんか!」

(名竿 雪宗を… あげる)
ベンケイ
「おお…かたじけない!」
ベンケイ
「釣りなど
生まれて初めての経験だが―」
ベンケイ
「…なに剣術と大差あるまい!」
ベンケイ
「では記念すべき千本目の刀を
懸けて―」
ベンケイ
「幻の生きた刀と一騎打ちと行くぞ!」


ベンケイ
「ウムムムム…?」
ベンケイ
「こうして水面に
サオを向けてはみたものの―」
ベンケイ
生きた刀
中々食い付いて来んのう…」
ベンケイ
「まぁ急いては事を仕損じると
言うし―」
ベンケイ
「じっくり腰を据えて
根比べといこうではないか!」
イッスン
「なぁアマ公…」
イッスン
「このままじゃ多分
あと百年待っても橋は渡れないぜェ」
イッスン
「ここは一ついつものアレで―」
イッスン
生きた刀ってのを
釣り上げてやっちゃどうだィ?」

(生きた刀釣りを… 興味ない)
イッスン
「オイオイ…このまま
橋を渡れなくてもいいのかよォ?」

(生きた刀釣りを… 手伝う)
イッスン
「まったく
世話の焼けるおっさんだぜェ」
イッスン
「でも…生きて泳いでる刀なんて
本当にいるのかァ?」


イッスン
「さァてアマ公…
要領はもう分かってるよなァ?」
イッスン
筆しらべで線を引いて
サオの先端と魚を繋げる
んだぜェ」
イッスン
「相手はどんな獲物か知らねェが…
しくじるんじゃねぇぞォ!」

(魚を繋ぐと)
ベンケイ
「き…来たか!?」
イッスン
「おっさん引けェ!
負けるんじゃねぇぞォ!」

(二匹目、三匹目)
ベンケイ
「今度こそ逃すものか!」
イッスン
「おっさん引けェ!
負けるんじゃねぇぞォ!」

(成功)
ベンケイ
「よおぉぉぉーしっ!」
ベンケイ
「我が大願ついに―」
ベンケイ
「ついにここに成就せり!!」

ベンケイ
「……」
イッスン
「……」
ベンケイ
「生きた刀って…そう言う事?」
ベンケイ
「あれが…
某が追い求めた千本目の刀…」
イッスン
「ま…まァいいじゃねェか」
イッスン
「さっきの太刀魚だって
中々デカい獲物だったぜェ?」
イッスン
「それに普通いねェや
…こんな湖に海の魚がよォ!」
ベンケイ
「慰めはいらぬ!」
ベンケイ
「とにかく僧に二言はない」
ベンケイ
「このカラクリ自在橋…
元通りに繋げてやろう!」
(橋が繋がる)


ベンケイ
「…何だか刀にこだわるのが
馬鹿馬鹿しくなって来たわ」
ベンケイ
「……」
ベンケイ
「それそうと…
釣りとは中々面白いもんだのう?」


(橋の中頃まで進む)
イッスン
「ア…アマ公ちょっと待てェ!」
イッスン
「この霧湖だか山だか…何処ぞから
漂って来たとばっかり思ってたが―」
イッスン
「貴族たちの屋敷の方に
立ち昇ってるアレは何だァ!?」
イッスン
「アマ公…この先に進むのかよォ?」


(ウシワカに近付く)
ウシワカ
「おやおや…?」
ウシワカ
「これは随分ゆっくりとした
お着きだねぇ!」
イッスン
「お…お前はインチキ予言野郎!」
イッスン
「おっとォ…そんな何気なく現れても
誤魔化されないぜェ」
イッスン
「オロチの時の恨み…
忘れちゃいないんだからなァ!」
イッスン
「またコソコソと
オイラたちに付きまとって―」
イッスン
「こんどは何を企んでやがんだィ!」
ウシワカ
「…ん?」
ウシワカ
「ミーはわざわざユーたちに
付きまとうほどヒマじゃないよ」
ウシワカ
「ミーにはミーの…
ちょっとした探し物があってねぇ」
イッスン
「探し物だァ!?」
イッスン
「ケェーッ! 毎度毎度探し物たァ
予言師が聞いてあきれらァ!」
ウシワカ
「まぁ…探すと言っても
どこにあるかはもう分かってるんだ」
ウシワカ
「ただ―」
ウシワカ
「…そこに辿り着くまでが
少々厄介そうでねぇ」
ウシワカ
「どうすれば手っ取り早く手に入るのか
…それを探してるんだよ」
イッスン
「手っ取り早くって…まさか―」
イッスン
「どうもおかしいと思ったら
この霧お前の仕業なのかァ!?」
イッスン
「いつもいつも
良からぬ事を企みやがって―」
イッスン
「今度は都を落として手っ取り早く
天下を取ろうとでも言うのかよォ!!」
ウシワカ
か…」
ウシワカ
「…するどいじゃないかゴムマリ君」
ウシワカ
「ミーが探しているのは
まさにその天への道なんだよ」
イッスン
「天への道ィ…?」
イッスン
「回りっくどい言い方で
煙に巻くんじゃねェや!」
ウシワカ
「フフフフフ…」
ウシワカ
「ゴムマリ君…ユーにも少なからず
関係のある話
なんだけどねぇ」
イッスン
「な…何ィ?」


ウシワカ
「ところで…いまこの都でイロイロと
騒ぎになってるようだね」
ウシワカ
「…特に人々を苦しめている
この不気味な霧がさ」
イッスン
「白々しい事を言いやがってェ」
イッスン
「ははァん…分かったぞォ?」
イッスン
「おかしな霧を目の当たりにして
天への道だの涼しい顔たァ―」
イッスン
「お前…女王ヒミコとグルになって
何かやらかそうってワケかィ!」
ウシワカ
「まぁまぁ話を急がない!
千里の道も一歩からって言うだろう?」
ウシワカ
「…でもこの霧だけは
早く何とかしないと―」
ウシワカ
「ゆっくりジックリ…だけど確実に
人々を死に追いやろうとしているよ」
ウシワカ
「早いとこ手を打たないと
取り返しの付かない事になりそうだねぇ」
イッスン
「この野郎…
人事のように言いやがってェ!」
イッスン
「全部お前の仕業だって
白状したらどうだィ!」
ウシワカ
「仮にそうだったとして―」
ウシワカ
「…ここで言い争っていれば
何か解決するのかい?」
ウシワカ
「それより早く何か行動した方が
いいと思うけどなぁ」
ウシワカ
「ミーも予言…じゃなくて
助言くらいはしてあげようかな?」
ウシワカ
「"イッスン先は壁の穴から!"」
ウシワカ
「……」
ウシワカ
「…コホン!
何が言いたかったかと言うと―」
ウシワカ
どんなに厳重な守りにも
針の穴ほどの隙間は必ずある
!」
ウシワカ
「…って事なんだけど―」
ウシワカ
「ちゃんと伝わったかな?」


ウシワカ
「この毒の霧…相当厄介そうだねぇ」
ウシワカ
「早いとこ手を打たないと
取り返しの付かない事になるよ」
ウシワカ
「ミーも予言…じゃなくて
助言くらいはしてあげようかな?」
ウシワカ
「"イッスン先は壁の穴から!"」
ウシワカ
「……」
ウシワカ
「…コホン!
何が言いたかったかと言うと―」
ウシワカ
どんなに厳重な守りにも
針の穴ほどの隙間は必ずある
!」
ウシワカ
「…って事なんだけど―」
ウシワカ
「ちゃんと伝わったかな?」
イッスン
「アマ公!
…こんな奴もう放っとけェ!」


都の男(常に最後尾)
「オレの順番まだかなぁ」
都の男
「こんなむせ返るような
霧の中にいたんじゃ―」
都の男
「イライラして
仕事が全然手に付かないよ!」
都の男
「…やっぱり一日一度はツヅラオさまに
お会いして癒されないとねぇ?」


都の男
「オレの順番まだかなぁ」
都の男
「早くツヅラオさまのお顔を
拝見したいなぁ」

(頭突き)
都の男
「いってぇな! 何すんだい!」


都の男
「オラぁ今日も
ツヅラオさまの説法を聞きに来ただよ」
都の男
「妙な霧が立ち込めてから
持病の腰痛がひどくなってなぁ」
都の男
「でもツヅラオさまのお話を聞いたら
いつもピンと元気になるだよ!」


都の男
「ツヅラオさまの説法を聞いたら
いつもピンと元気になるだよ!」
都の男
「この霧もそのうちツヅラオさまが
法力で払ってくれるだよ!」

(頭突き)
都の男
「腰にズシーンと来るだよ!」


都の女
「ツヅラオさまは大昔から
餡刻寺の住職を務めておられるんだ」
都の女
「本当にいつまでもおキレイで
羨ましいよ」
都の女
「…私もあやかりたいもんだねぇ」


都の女
「餡刻寺へは行って見たかい?」
都の女
「ツヅラオさまにピッタリの
キレイなお寺だよ」
都の女
「…それにしてもツヅラオさまは
いつまでもおキレイで羨ましいねぇ」

(頭突き)
都の女
「うきゃっ!?」


都の男
「ツヅラオさまは都の外れにある
餡刻寺の住職さまなんだけど―」
都の男
「おいらたちのために
わざわざ都へ来てくれたんだ」
都の男
「都に妖怪騒ぎがある時には
こうしていつも助けに来てくれるし―」
都の男
「その上滅法キレイな
尼さんなんだぜ!」
都の男
「俺はツヅラオさまのお顔を
拝見するだけで元気になるんだ!」


都の男
「ツヅラオさまはいつも
都を助けに来てくれるんだ」
都の男
「女王ヒミコさまは今
なぜか何も助けちゃくれないが―」
都の男
「ツヅラオさまさえいれば
都は安泰だよ!」
都の男
「それにツヅラオさまは
この上なくキレイだしなぁ!」

(頭突き)
都の男
「あ…危ないだろ!」


兵士(右)
「ほう…いよいよ犬までも
ツヅラオさまの説法を聞きに参ったか」
兵士(右)
「見よこの人の数を…!」
兵士(右)
「皆この荒む世を憂い
ツヅラオさまのお言葉を待っておる」
兵士(右)
「…中には不純な動機で
列を成している者もおるようだが―」
兵士(右)
「ツヅラオさまの美貌を以ってすれば
仕方のない事よ…」
兵士(右)
「警備ばかりでなく私も
一度お言葉を賜りたいものだ」


兵士(右)
「犬よ…
ツヅラオさまの説法を聞きたければ―」
兵士(右)
「お前も行儀よくここに並ぶのだぞ」

(頭突き)
兵士(右)
「こら! 遊んでいる暇はないのだ!」


兵士(左)
「ここは摂政ツヅラオさま
謁見殿である」
兵士(左)
「ツヅラオさまは迷える者に
お導きの手を差し伸べて下さる」
兵士(左)
「…犬コロよ案ずるな
ツヅラオさまは畜生とて差別はせん」
兵士(左)
「さぁツヅラオさまのありがたい説法が
聞きたくばこの門前に並ぶが良い」

兵士(左)
「ここは摂政ツヅラオさま
謁見殿である」
兵士(左)
「ツヅラオさまのありがたい説法が
聞きたくばこの門前に並ぶが良い」

(頭突き)
兵士(左)
「これ! あんまりふざけていると
つまみ出すぞ!」


(謁見殿の中を調べる)
イッスン
「世界中からこの都に
集められた書物が並んでらァ」
イッスン
「オイラ巻物なんて読まねェけど
こいつはなかなか壮観だぜェ」


(ツヅラオを無視して先に行こうとする)
ツヅラオ
「こ…これこれ!」
ツヅラオ
「お主何をそんなに急いでおる?」


ツヅラオ
「何と…オオカミまでもがこんな所に
迷い込むとは―」
ツヅラオ
「いよいよ世は混迷して来たと見える」
ツヅラオ
「オオカミよ…そなたも我が謁見の間へ
説法を聞きに来られたのかな?」
ツヅラオ
「我が名はツヅラオ―」
ツヅラオ
「ヒミコさまの命で
この西安京の摂政を務める尼僧だ」
『 尼僧 ツヅラオ 』
ツヅラオ
「…してそなたはどのような迷いを
持っておられるのかな?」
イッスン
「ボ…ボイン…」
ツヅラオ
「んん? これはこれは…」
ツヅラオ
「可愛らしい妖精も一緒だったのかね」
イッスン
「オ…オイライッスンってんだィ!」
イッスン
「言っておくが…そのボインに
目が眩んだワケじゃないからなァ!」
ツヅラオ
「…ボイン?」
イッスン
「それよりアンタ…
今この都でアタマを張ってるってェ?」
イッスン
「都は得体の知れない霧に覆われて―」
イッスン
「海じゃ水龍がどうのって
物騒な話も聞くのによォ」
イッスン
「…当の女王サマは神殿に
雲隠れしてるって言うじゃねェか」
イッスン
「街中でも人がバタバタ
倒れてるってェのに―」
イッスン
「それでも女王サマは
布団の中で安閑としてるのかィ?」
ツヅラオ
「そなたたちも両島原に迫る
闇の気配を感じて参ったか…」
ツヅラオ
「神州平原ではあのヤマタノオロチが
蘇ったものの―」
ツヅラオ
「勇気ある剣士によって
退治されたと言うではないか」
ツヅラオ
「その吉凶入り混じった混沌の波は
ここ両島原にも押し寄せている」
ツヅラオ
「怒れる水龍が海原を荒らし
禍々しき濃霧は都を冒涜する…」
ツヅラオ
「それも…ここ数日で更にその度合いを
増し始めたのだ」
ツヅラオ
「平和だったナカツクニは
どこへ行ってしまったのだ!?」


イッスン
「混沌の波が
ここ数日で度合いを増したってェ…?」
イッスン
「まさかオロチを退治した時の
あの不気味な影―」
イッスン
「…奴らがこの両島原に
憑り付きやがったんじゃ…?」
ツヅラオ
「…これイッスンとやら
何を独りでブツブツ言っておる?」
イッスン
「ヘッへ聞いて驚くなよォ?」
イッスン
「神州平原でヤマタノオロチを
退治したのは―」
イッスン
「何を隠そうここに御座す
大神アマテラスさまよォ!」
ツヅラオ
「な…何? このオオカミが!?」
ツヅラオ
「まさか…オロチを退治したのは
スサノオという剣士だと聞いたが?」
イッスン
「!!」
イッスン
「ま…まァ確かに止めを刺したのは
あのおっさんだけど―」
イッスン
「…でもこのアマ公だって
結構頑張ったんだぜェ!」
イッスン
「それがどうしても
信じられねェって言うなら―」
イッスン
「今ここで
このアマ公の通力を見せてやるぜェ!」


(何もせずに話し掛ける)
ツヅラオ
「……」
ツヅラオ
「イッスンや
通力とやらはいつ見せてくれるのだ?」
イッスン
「ま…待ってろィ
今見せてやらァ!」
イッスン
「おいアマ公! 何でもいいから
筆しらべをカマしてやれ
ってェ!」


(筆しらべを使う)
ツヅラオ
「い…今のは!?」
イッスン
「見たかい
これがアマテラスさまの通力―」
イッスン
「その名も神業筆しらべよォ!」
ツヅラオ
「筆しらべ…?」
ツヅラオ
「何とも面妖な…
しかし確かに恐るべき通力だ!」
イッスン
「そうだろォ? …このアマ公には
出来ない事なんてないのさァ!」
ツヅラオ
「この者なら―」
ツヅラオ
「この者ならば我らの願い
叶えてくれるかも知れぬ!」
イッスン
「…願いィ?」
イッスン
「何だい…そんなにオッパイが
デカいのに悩み事があるのかァ?」
ツヅラオ
「イヤ…
今の言葉は忘れてくれ」
ツヅラオ
「あの魔除け札を失った今―」
ツヅラオ
「…我には如何なる手の打ちようも
ないのだ…」


イッスン
「なァ…何だい願い事ってのはよォ?」
ツヅラオ
「イヤ…その話は忘れてくれ」
ツヅラオ
「貴殿の通力を目の当たりにし
願い事をしたいのは山々だが―」
ツヅラオ
「あの魔除け札を失った今
我には手の打ちようがないのだ…」

(頭突き)
ツヅラオ
「こ…これ!」
イッスン
「ボインボイン…」


虚無僧
「おおお前はちょくちょく見かける
白きオオカミではないか」
虚無僧
「ワシは仏に使える身…全國を行脚し
仏法を説いているのだが―」
虚無僧
「この世に汚れた場所の
何と多いことか」
虚無僧
「…ここにも感じるぞ
凍り付くように冷たい妖気を!」
虚無僧
「良く目を凝らして見るがいい
ホレお主の後ろに…」


虚無僧
「普通の人間には見えぬ戦い
ワシには見えたぞ…」
虚無僧
「戦いにかかった時間は…
ズバリ○○秒だ!」
虚無僧
「…実に見事な戦いだった」
虚無僧
「何度となく
お主の戦いを見て来たが―」
虚無僧
「お主の人知を超えた力には
全く以って恐れ入ったぞ!」
虚無僧
「お主の前に立ちはだかる
大いなる闇も―」
虚無僧
「…もはや恐るるに足るものでは
ないやも知れぬな」


虚無僧
「妖気は晴れたものの…未だに
この都には生気がないわい」
虚無僧
「都全体に覆い被さる不穏な影…
あまりにも大きくてワシにも掴めぬわ」

(頭突き)
虚無僧
「こ…これこれ!」
イッスン
「お前いい加減にしろってェ!」


阿国
海深くたゆたいし水の國
幸深く守らんとす水の龍

阿国
水の國龍を崇めて太平を愛で
水の龍國を想ひて太平を与ふ

阿国
「…これは私のおばあちゃんが
教えてくれた歌よ」
阿国
「海で暴れてる水龍さまは元々―」
阿国
「海の底の國龍宮の神さまなんだって」
阿国
「…ワン子ちゃん聞いたことある?」

(頭突き)
阿国
「きゃっ!」


貴族の男
「おやおや可愛い犬が
まろの屋敷に紛れ込んだようじゃのう」
貴族の男
「どうしたワン公
腹でも減ったでおじゃるか?」
貴族の男
「それとも荒れる両島原を憂いて
ここへ逃げ込んで来たか?」
貴族の男
「まぁあげるものは何もないが
ゆっくりしていっておくれ」


貴族の男
「ワン公まろの屋敷の
居心地はどうでおじゃるか?」
貴族の男
「まぁあげるものは何もないが
ゆっくりしていっておくれ」

(頭突き)
貴族の男
「おっほっほ…
元気なワン公でおじゃるな」


貴族の女
「まあ汚らわしい犬…」
貴族の女
「シッシ!
あっちへ行っておれ!」
貴族の女
「ここはお主のような
下賎な輩の入る所ではないわ!」


貴族の女
「まったくふてぶてしい犬よの」
貴族の女
「妾の家に
土足で踏み込んで来るとは…」
貴族の女
「シッシ!
あっちへ行っておれ!」

(頭突き)
貴族の女
「これ! 何をするのじゃ!」


(親衛隊に近付く)
親衛隊
「我々はヒミコさまの親衛隊」
親衛隊
「ヒミコさまはこの先の神殿で
都のために御祈祷を捧げておられる」
親衛隊
「その間は誰も中に入れぬよう
仰せつかっている故―」
親衛隊
「犬一匹とて
ここを通る事はまかりならん!」


親衛隊
「眼前に広がるタタリ場…」
親衛隊
「悪しき気配が都を
包みつつあるようだが―」
親衛隊
「我ら親衛隊
ヒミコさまには指一本触れさせぬ覚悟」
親衛隊
「我らはどのような妖術にも
決して惑わされんぞ!」
イッスン
「まったく…役人ってのはどいつも
口を揃えて同じ事ばかり言いやがらァ」
イッスン
「…大神サマが人間蹴散らして
押し通るワケにも行かねェし―」
イッスン
「もう放っておこうぜェ」


(貴族の屋敷に入る)
貴族の男
ブツブツブツ…
貴族の男
「帝さまは…
一体どうされたのだ?」
貴族の男
「やはり病が原因なのだろうか…」


貴族の男
「オイ犬よ
わしの愚痴を聞いてくれるか?」
貴族の男
「…ワシはこの西安京の前帝
宝帝に官吏として遣え―」
貴族の男
「長年帝さまのお側に
住まわして頂いているのだが…」
貴族の男
「帝さまは突如
重い病にかかって床に伏し―」
貴族の男
「それ以来まるで別人のように
豹変してしまったのだ」
貴族の男
「以前の帝さまは決して奢る事のない
優しき方だったのに―」
貴族の男
「…今では屋敷に厳重な警備を敷き
救いを求める民を追い返すありさま」
貴族の男
「その上名もない女性を捕らえて
牢に入れているとの噂まであるのだ」
貴族の男
「おいたわしや…きっと病が
帝さまを狂わせているのだ!」

(頭突き)
貴族の男
「これこれ!」


貴族の女
「まあかわいいワンちゃんだこと…」
貴族の女
「ワンちゃんも夫の愚痴を
聞いてあげて下さいな」
貴族の女
「夫は最近悩んでばっかりですのよ…」


貴族の女
「私も最近
何だか体が優れないんですの」
貴族の女
「ここは都に立ち込める霧が
一層深いですから―」
貴族の女
「すっかり
気分が滅入ってしまったのかしらね…」

(頭突き)
貴族の女
「あ…危ないですわ!」


(宝帝の屋敷の衛兵に近付く)
衛兵(左)
「ねぇ…」
衛兵(左)
「……」
衛兵(左)
「…ねぇ聞いてる?」
衛兵(右)
「ど…どうしたんだ職務中に!」
衛兵(左)
「あのさ…
ちょっと聞きたいんだけど―」
衛兵(左)
「…オレたちのご主君さまの事
どう思う?」
衛兵(右)
「何だと?」
衛兵(右)
「どうも何も…宝帝さま
それはそれは立派な方ではないか」
衛兵(右)
「今は原因不明の病に倒れ
床に伏せっておられるが―」
衛兵(右)
「俺は宝帝さまの一刻も早い回復を
望んでいる!」
衛兵(左)
「それは俺も一緒なんだけどさ」
衛兵(左)
「…でも原因不明の病とは言うけど―」
衛兵(左)
「あの霧の渦
どう見ても普通じゃないよね?」
衛兵(左)
「アレ宝帝さまが倒れた途端
帝さまの部屋から立ち上り始めて―」
衛兵(左)
「あっと言う間に
都中に広まったんだよ?」
衛兵(左)
「そしたら今度は
都のみんなが苦しみ始めるなんて…」
衛兵(左)
「ね? ね?
あの霧完全に怪しいよね?」
衛兵(右)
「……」
衛兵(右)
「確かに普通ではない」
衛兵(右)
「…だが我々が宝帝さまを案じ
容体を伺おうにも―」
衛兵(右)
「厳しく人払いをされて
医者さえも寄せ付けぬ」
衛兵(右)
「…よって誰にも
真相を突き止めることが出来んのだ」
衛兵(左)
「…それから屋敷の牢に娘さんが一人
閉じ込められてる
でしょ?」
衛兵(左)
「あの娘…何も悪い事してないのに
どうしてあんな目に遭ってるの?」
衛兵(右)
カグヤとかいうあの娘か?」
衛兵(右)
「…捕らえておけとの命ゆえ
我々も従う他ないのだが―」
衛兵(右)
「なぜあのような命を
帝さまは仰せになったのだろう…」
衛兵(右)
「宝帝さまが病に倒れてから
都の様子はすっかり変わってしまった」
衛兵(右)
「一体屋敷の奥では
何が起こっているのだろうか…?」


衛兵(右)
「うぬっ!?
…白いオオカミとは怪しい奴め!」
衛兵(右)
宝帝さまの屋敷に何の用だ?」
衛兵(右)
「さては帝さまが病に倒れているスキに
宝物を盗みに来たな!?」
衛兵(右)
「不届き者め!
早くどこかへ消えてしまえ!」
衛兵(右)
「…これ以上ここをウロついておったら
食ってしまうぞ!」
衛兵(右)
「い…いやお前のように不味そうな奴
絶対に食いたくないが…」
衛兵(右)
「と…とにかく
早くどこかへ消えてしまえ!」


衛兵(右)
「しつこいオオカミめ…」
衛兵(右)
宝帝さまの命により
ここは何人たりとも通らせぬぞ!」
衛兵(右)
「…言っておくが
お前のようなオオカミはもちろん―」
衛兵(右)
「蚊一匹通すだけの
針の穴ほどの隙間さえないわ!」
衛兵(右)
「…さぁ分かったら
早くどこかへ消えてしまえ!」
イッスン
「これだけ厳重な警備を
してやがるたァ―」
イッスン
「…あの不気味な霧の渦
この屋敷の奥に間違いねェな」
イッスン
「一体宝帝ってのは何者なんだァ?」

(頭突き)
衛兵(右)
「な…何をする!?」


衛兵(左)
「あ…オオカミくん
今ここには近付かない方がいいよ」
衛兵(左)
「良く分からないけど宝帝さまから
厳重に警備するよう言われてるんだ」
衛兵(左)
「…さぁ早くお家に帰りな」


衛兵(左)
「何? …まだ何か用?」
衛兵(左)
「もしかして屋敷の奥で立ち昇ってる
霧の渦が気になるの?」
衛兵(左)
「あ…あれは何でもないよ!」
衛兵(左)
宝帝さまにそう言えって言われたから
とにかく何でもないよ!」
衛兵(左)
「…さぁ早くお家に帰りな!」

(頭突き)
衛兵(左)
「オオカミ君やめてよ!」


(札束に近付く)
イッスン
「…ん?」
イッスン
「この妙な札束は何だァ?」
イッスン
「どうやら一枚一枚
呪文が書いてあるようだぜェ」
イッスン
「…でもこりゃ念を込めた術者本人しか
操れない類の札だなァ」
イッスン
「オイラたちが持ってても
無用の長物だィ」


(緑の霧が噴き出す壁を調べる)
イッスン
「何だァここはァ?」
イッスン
「小さな穴っぽこから
霧がモクモク出て来てるぜェ」
イッスン
「この屋敷…怪しい匂いがプンプンすらァ」
イッスン
「…でもこんな穴っぽこ小さすぎて
さすがにお前じゃ入れねェよなァ」


(お札を銜えてツヅラオに近付く)
ツヅラオ
「な…何と!?」
ツヅラオ
「妖魔との戦いに欠かせぬ
我が魔除け札を―」
ツヅラオ
「この広い都から
探し出して来てくれたのか!?」
ツヅラオ
「てっきり妖魔どもに奪われたものと
思っていたが…無事戻って何よりだ」
ツヅラオ
「…しかし獲物を嗅ぎ当てるその力は
正しく人知を超えた神なる力―」
ツヅラオ
「オオカミよ…
そなたアマテラスと言ったな」
ツヅラオ
「アマテラス殿…その通力我らのために
是非役立ててはくれぬか!?」
イッスン
「おおっ? …何だい
やっぱり神頼みかよォ?」
ツヅラオ
「…願いと言うのは他でもない」
ツヅラオ
「貴殿もこれまで見聞きしたように…
この両島原は混乱の渦の中にいる」
ツヅラオ
「それも全ては…闇より湧き上がる
忌まわしき者ども―」
ツヅラオ
妖魔の軍勢によるものなのだ」
イッスン
「…妖魔の軍勢?」
ツヅラオ
「そう…今まで野で徒党を組んでいた
雑魚とは比較にならぬ妖怪が―」
ツヅラオ
「闇の深遠より現れ出で
この両島原を跋扈し始めた」
ツヅラオ
「神殿にこもられたヒミコさまに代わり
摂政を仰せつかったこのツヅラオ―」
ツヅラオ
「いつもなら我が法力を駆使し
妖魔など退散せしめてくれるのだが…」
ツヅラオ
「この度は敵の力が余りに強大ゆえ
我が法力では敵わぬのだ」
ツヅラオ
「お頼み申す!
今こそ我らに力を貸してくれぬか!」
イッスン
「…そりゃ結局ヒミコに
力を貸す事になるのかィ?」
イッスン
「胡散臭ェ…気が乗らねぇなァ」
ツヅラオ
「都の民の中には神殿にこもった
ヒミコさまを悪く言う者もいるがー」
ツヅラオ
「ヒミコさまはきっと我らのために
神の加護を祈っておられるに違いない」
ツヅラオ
「…しかし幾らヒミコさまと言えど
水龍を鎮め都を祓い清めるには―」
ツヅラオ
法力を高めるための強力な神器
必要なはず」
ツヅラオ
「それを探すのを手伝って欲しいのだ!」


ツヅラオ
「アマテラス殿…改めて貴殿に
お頼み申す!」
ツヅラオ
「我が願い…
どうか聞き届けてはくれぬか!?」

(取り敢えず話を… 聞くだけ聞く)
イッスン
「仕方ねェな…
そのボインに免じて聞いてやるかァ!」
ツヅラオ
「ボイン…?」
ツヅラオ
「と…ともかくそなたも
この都に参られる時に見たであろう」
(取り敢えず話を… 聞きたくない)
ツヅラオ
「そ…そこを何とか!!」
ツヅラオ
「アマテラス殿…改めて貴殿に
お頼み申す!」
ツヅラオ
「我が願い…
どうか聞き届けてはくれぬか!?」
ツヅラオ
「この両島原に入ってすぐの
沖合いに眠る―」
ツヅラオ
水龍に沈められた宝物船を!」
ツヅラオ
「…あの宝物船は他国との貿易に
使われた船で―」
ツヅラオ
「ヒミコさまが取り寄せた
大切な宝物を積んでいた」
ツヅラオ
「しかし我が物顔で暴れ回る水龍は
海を行き交う船を次々に襲い―」
ツヅラオ
「神器を積んだあの船も港を目前にして
沈められてしまったのだ!」
ツヅラオ
「ヒミコさまがやっとの事で探し当てた
その神器キツネ管は―」
ツヅラオ
「操る者に如何なる妖魔をも屠る力を
与えてくれる絶世の宝物で―」
ツヅラオ
「この西安京の…いや
ナカツクニの国宝となるはずだった」
ツヅラオ
「今あのキツネ管さえこの手にあれば
妖魔の侵攻を見す見す許さぬものを…」
ツヅラオ
「アマテラス殿!
…あの宝物船に乗り込み―」
ツヅラオ
「船の積荷から神器キツネ管
探し出すのを手伝ってはくれぬか!?」
イッスン
「な…何だとォ!?」


イッスン
「…ちょっと待ちなィ
宝物船に乗り込んで宝を探せだァ?」
イッスン
「そりゃカワイイ姉ちゃんのお願いなら
オイラにゃ断れねぇけど―」
イッスン
「このアマテラス大先生が
首を縦に振らねぇんじゃどうにも…」
イッスン
「…でどうなんですかィ大先生?
ボイン姉のお願い聞くんですかィ?」

(ツヅラオのお願いを… 聞いてあげる)
イッスン
「いやァ残念!
アマテラス大先生がそう言うんじゃ―」
イッスン
「な…何ィ!?
イッスン
「アマ公お前…今何て!?」
ツヅラオ
「おお…アマテラス殿
地獄に仏とはこの事なり」
ツヅラオ
「では早速宝物船へ向かいましょうぞ!」
ツヅラオ
「…と言いたいところだが―」
(ツヅラオのお願いを… 聞きたくない)
ツヅラオ
「そ…そこを何とか!!」
イッスン
「…ちょっと待ちなィ
宝物船に乗り込んで宝を探せだァ?」
イッスン
「そりゃカワイイ姉ちゃんのお願いなら
オイラにゃ断れねぇけど―」
イッスン
「このアマテラス大先生が
首を縦に振らねぇんじゃどうにも…」
イッスン
「…でどうなんですかィ大先生?
ボイン姉のお願い聞くんですかィ?」
ツヅラオ
三日月の登る夜が来るまで
暫し待たねばなるまい」
ツヅラオ
「あの宝物船が座礁している浅瀬は
三日月潟と言って―」
ツヅラオ
月見櫓から三日月が見える夜だけ
潮が引く
のだ」
ツヅラオ
「潮さえ引けば宝物船に入るのも
容易になる故―」
ツヅラオ
「三日月の夜に宝物船で落ち合おう!」


ツヅラオ
「アマテラス殿…覚えておいでで
あろうな?」
ツヅラオ
「あの宝物船が座礁している浅瀬は
三日月潟と言って―」
ツヅラオ
月見櫓から三日月が見える夜だけ
潮が引く
のだ」
ツヅラオ
「あの船には必ずあの神器キツネ管
眠っているはず…」
ツヅラオ
「潮さえ引けば宝物船に入るのも
容易になる故―」
ツヅラオ
「三日月の夜に宝物船で落ち合おう!」


(外に出ようとする)
イッスン
「アマ公! …お前あのボイン見て
安請け合いしたんだろォ!」
イッスン
「…まァオイラもやっぱり
ボインにゃ逆らえねェや
イッスン
「でも…ヒミコについちゃ
まだ気を許したわけじゃないからなァ」
イッスン
「あのボイン姉だってヒミコに
操られてるのかも知れねェ」
イッスン
「もしも奴らがそのキツネ管ってので
悪さを企んでるんだとしたら―」
イッスン
「…確かにオイラたちがそいつを先に
手に入れる価値はあるけどなァ!」