(クサナギ村に入る)
イッスン
「ウェ〜ップ!!」
イッスン
「な…何だい
この不気味な妖気はァ!?」
イッスン
「この村…まだタタリ場の妖気が
抜け切ってないぜェ!」


行商人
「いやぁ困ったなぁ…」
行商人
「この村の奥にある風神宮
参拝客相手に商売しようと思ったら―」
行商人
「何やらおっかない怪物に占拠されて
大騒ぎしてるじゃないか」
行商人
「まぁせっかくこんな所まで来た事だし
商売して行くけどさ」
行商人
「ワン子…お前
お使いを頼まれたりしてないかい?」


井戸端のおばちゃん(赤)
「村を守る風が止んじまったのも―」
井戸端のおばちゃん(赤)
「神主さまがあの怪物
食い殺されちまってからよねぇ!」
井戸端のおばちゃん(赤)
「あれから今とばかりに妖怪たちが
風神宮へ攻め込んで―」
井戸端のおばちゃん(赤)
「風神宮に祀られた風の神さまの力が
弱まってしまったのよ!」
井戸端のおばちゃん(赤)
「…昔は神風に吹かれて風神宮の
大風車も勢い良く回ってたのにねぇ?」
井戸端のおばちゃん(赤)
「そんな事より―」


井戸端のおばちゃん(赤)
「ねえねえ神主さまの事と言えば
フセ姫さまも健気だわよ!」
井戸端のおばちゃん(赤)
「神主さまもフセ姫さまも
代々風神宮を守り続ける家柄でしょ?」
井戸端のおばちゃん(赤)
「フセ姫さまはたった一人残された後も
涙一つ見せずに頑張ってるじゃない!」
井戸端のおばちゃん(赤)
「誰か助けになってあげれば
いいのにねぇ?」
井戸端のおばちゃん(赤)
「…それにしても―」

(頭突き)
井戸端のおばちゃん(赤)
「何だい
じゃれるなら後にしとくれよ!」


井戸端のおばちゃん(黄)
「一体いつまでこんな日が
続くのかしらねぇ?」
井戸端のおばちゃん(黄)
「高宮平のクサナギ村と言ったら
魔除けの風神風が名物なのに―」
井戸端のおばちゃん(黄)
「風はすっかり止んじまって
村は荒れ放題じゃないの!」
井戸端のおばちゃん(黄)
「神風が吹かなきゃ生活は出来ないし
空気は淀むし―」
井戸端のおばちゃん(黄)
「本当に
何とかならないもんかしらねぇ?」
井戸端のおばちゃん(黄)
「そう言えば―」


井戸端のおばちゃん(黄)
「ねえねえあのイザナギさまの子孫が
この村を訪れてるって言うじゃない?」
井戸端のおばちゃん(黄)
「殺された神主さまに代わって
あの怪物を退治してくれるのかしら」
井戸端のおばちゃん(黄)
あの怪物がいなくなれば
この村にもきっと風が戻るわよ!」
井戸端のおばちゃん(黄)
「…それにしても―」

(頭突き)
井戸端のおばちゃん(黄)
「ちょっと今いい所なのよ!」


(井戸を調べる)
イッスン
「なるほどこいつは
風力で水を汲み上げる噴水だなァ」
イッスン
「あいにく今は動いてねェみたいだなァ
地面が干からびちまってらァ」
イッスン
「強い風が近くでピューッっと吹け
また水が引けるんだろうけどよォ…」


花畑の女の子
「ねぇ見てワンちゃん」
花畑の女の子
「ここ…本当は
キレイな花壇だったの」
花畑の女の子
「噴水から湧き出す水のお陰で
お花さんが一杯咲いていたのにー」
花畑の女の子
「風が止んだら噴水の水も涸れちゃって
お花さんも…」
花畑の女の子
「…でもこうやって毎日お水をあげたら
また絶対に咲くよね?」


花畑の女の子
「キレイな花壇だったのに…まるで
枯れ草に塗りつぶされちゃったみたい」
花畑の女の子
「…でもこうやって毎日お水をあげたら
お花さんまた咲くよね?」

(頭突き)
花畑の女の子
「やん!」


(看板を調べる)
『 「お花さんに
  お水をあげてください」 』
イッスン
「見たところ子供の字だなァ
あのチビッ子が書いたのかァ?」


(筆しらべを使おうとする)
イッスン
「アマ公ダメだァ…」
イッスン
「この妖気の中じゃ
筆しらべの力も通用しねェや!」


ヘチマ畑の男
「う〜ん…
やっぱり上手く行かないなぁ」
ヘチマ畑の男
「収穫したヘチマを
カゴに入れてるんだけど―」
ヘチマ畑の男
「竹取じいが作るカゴじゃないと
ヘチマがすぐ溢れちゃうよ」
ヘチマ畑の男
「…ワン公はもうこの村の
竹取じいの家に行ったかい?」
ヘチマ畑の男
「じいの竹細工は本当に見事で
遠い都からも注文があったくらいさぁ」
ヘチマ畑の男
「…だけど最近
良い竹が取れなくなったとかで―」
ヘチマ畑の男
「急に休業しちゃったんだよねぇ」
ヘチマ畑の男
「あ…そう言えば―」


ヘチマ畑の男
「ふもとの高宮平に
ちょっとオンボロな家があっただろ?」
ヘチマ畑の男
「あそこに住んでるじいさんばあさんが
最後に竹細工を注文したらしいねぇ」
ヘチマ畑の男
「急に鳥カゴが必要になったって
話だけど―」
ヘチマ畑の男
「あの動物嫌いの二人に
鳥を飼う趣味なんてあるのかなぁ?」

(頭突き)
ヘチマ畑の男
「オ…オラのヘチマが!」
(ヘチマを取得)

(頭突き四回目)
ヘチマ畑の男
「ヘ…ヘチマが全部
こぼれちゃったじゃないかい!」


(夜の村人達)
井戸端のおばちゃん(黄)
「ひ…昼間喋り過ぎて
声が枯れちゃったの…」
井戸端のおばちゃん(黄)
「夜はもう何にも話せないわ…」

(頭突き)
井戸端のおばちゃん(黄)
「……!」


花畑の女の子
「キレイな花壇だったのに…まるで
枯れ草に塗りつぶされちゃったみたい」
花畑の女の子
「…でも私が毎日お水をあげてるから
お花さんまた咲くよね?」


井戸端のおばちゃん(赤)
「昼間喋り過ぎて
もう喉がガラガラ…」
井戸端のおばちゃん(赤)
「でも明日はお隣に負けないよう
いっぱい喋らなきゃ…」

(頭突き)
井戸端のおばちゃん(赤)
「……!」


梅婆
「あら何だいオオカミかい?
…また金にならない客が来たよ」
梅婆
「この間やって来た客も
飯ばかり食って金払いは悪いしねぇ」
梅婆
「あのイザナギさまの
子孫だって言うから泊めたのに―」
梅婆
「屁理屈をこねて怪物退治にも行かず
一日中裏の林でゴロ寝だよ」
梅婆
「おまけに夜はすごい声を上げて
うなされてるし…」
梅婆
「お前うまい事追い払って
くれないかい?」


梅婆
「裏でゴロ寝してるあの客
神木村から来たとか言ってたっけ」
梅婆
「確かにあの村にはイザナギさまの
血を引く者がいるって聞いたけど―」
梅婆
「妖怪がはびこる今の世の中で
あんな伝説を信じろと言われてもねぇ」
梅婆
「伝説は伝説 現実は現実!
妖怪のいない世なんて来やしないさ」


(置物を調べる)
イッスン
「この置物…
あの居眠り熊にそっくりだけど―」
イッスン
「こっちの置物の面構えの方が
よっぽど熊らしいやァ!」


(宿屋二階の奥の扉に頭突き)
ハルカ
「イヤ〜ッ!!」
ハルカ
「か…厠の扉を急に開けるのは誰!?」
ハルカ
「用事があるなら
ちょっと待って!」

(頭突き二回目)
ハルカ
「イヤ〜ッ!!」
ハルカ
「用事があるならちょっと待ってって
言ってるでショ!」
ハルカ
「一度外に出て出直してよ!」


(一度外に出てから再度入る)
ハルカ
「ハァ…こんな村まで来たものの
やっぱり私一人の力では…」
ハルカ
「この先どうしたらいいのか…」
ハルカ
「ハァ…」


ハルカ
「いっその事討ち死に覚悟で
挑んでみようかな…」
ハルカ
「…いえそれでは
旅に出た意味が無いわ」
イッスン
「なぁお姉サン
何を悩んでるんだィ?」
ハルカ
「あっ! …あなたは
さっき厠を覗いたいたずらワン子!」
イッスン
「ああ…こいつアマテラスってんだけど
すぐああいう下品な事するンだ」
イッスン
「…それよりオイラはイッスン!
カワイイ子の話なら何でも聞くぜェ!」
ハルカ
「私の名前はハルカ
ハルカ
「実は…妖怪に殺された親の仇討ちを
しようと旅に出たものの―」
ハルカ
「やっぱり私の力じゃ
妖怪には太刀打ち出来なくてね…」
ハルカ
「どうしたら奴らを懲らしめて
やれるのかと途方に暮れていたのよ」
『 薄幸の佳人 ハルカ 』
ハルカ
「…ねぇあなたそんな小さな体で
オオカミを乗りこなすなんて―」
ハルカ
「よっぽど腕っ節が立つんじゃないの?」
ハルカ
「私の代わりに仇の妖怪たちを
懲らしめてくれないかしら?」
ハルカ
「…ほらここに仇の顔は描いてあるわ!」
ハルカ
「仇の妖怪たちには神のお導きで
何か目印が付いているだろうだから―」
ハルカ
「出会えば一目で分かるはずよ」
ハルカ
「…と言っても奴らは用心深いから
夜しか現れないわ」
ハルカ
「闇夜に紛れる奴らを探して
私の代わりに仇討ちをして頂戴!」
『 ハルカの仇討ち血判状をもらった 』
イッスン
「任せておきなィ!」
イッスン
「このイッスンさまが
お姉サンの仇を取って来てやらァ!」


ハルカ
「この間やっと仇の妖怪を見つけて
斬り掛かったんだけど…」
ハルカ
「それが見間違いで
ただの枯れ木だった上に―」
ハルカ
「足を滑らせて崖から転げ落ちて
そのまま池にはまって溺れかけたの」
ハルカ
「だからもう一歩も
動かない方がいいかなって…」
イッスン
「…そうした方がいいぜェ」

(頭突き)
ハルカ
「キャッ何よ!?」


(スサノオに近付く)
スサノオ
「グ…うおぉ…」
スサノオ
「や…やめろそんな…事は…」
スサノオ
「我は絶対に…貴様などには…」
イッスン
「おやァ?
スサノオのおっさんじゃねェか!」
イッスン
「しぶとく生きてたと思ったら
今度はこんな村で何やってんだァ?」
イッスン
「どうせ妖怪にコテンパンにされる
夢でも見てるんだろうけど―」
イッスン
「それにしでも必死の形相で
うなされてんなァ…」
(飛び起きるスサノオ)
スサノオ
「い…今の夢は…!?」
スサノオ
「おのれ奴らめ…ここまで来ても
まだ我が夢の中に出て来るとは…!」
イッスン
「よォスサノオのおっさん
夢の中でもドジやってんのかィ?」
イッスン
「こんな所に寝転がって
呑気に居眠りたぁいいご身分だなァ」
イッスン
「古今無双の大剣士サマが
聞いて呆れるぜェ」
スサノオ
「ムッ!?
お…お前はポチと金玉虫!?」
スサノオ
「…ゴホン また我の瞑想を
邪魔しに来おったか…!」
スサノオ
「我は音に聞こえた大妖怪
赤ナントカを討ち取るため―」
スサノオ
「夢想の中でも戦いの組み立てを
考えているのではないか!」
スサノオ
「…ただその必勝祈願のためこの村の
風神宮へ参拝に来たのだが―」
スサノオ
「選りにも選ってその風神宮が
赤ナントカに占拠されたと言うのだ!」
スサノオ
「まぁ祈願などしなくても
我が剣は無敵なのだが―」
スサノオ
「人々のためにも万全を期さねば
ならぬ故疎かには出来ん…」
スサノオ
「まずはじっくりと腰を据えて
考えに考え抜かねばな」
スサノオ
「さてどうしたものか…」
イッスン
「…何だかんだ言って
結局寝るのかよォ!」


スサノオ
「うるさい奴らめ
…何だまだ我に用か?」
スサノオ
赤ナントカ退治なら
いま作戦を考え中だ!」
スサノオ
「…しかし必勝を祈願すると
言うのならば―」
スサノオ
「神木村へ戻ってクシナダちゃんの酒を
飲んだ方が効力がありそうだな…」
イッスン
「このおっさん…早くも逃げ腰な上に
酒まで飲みたがってるぜェ」

(頭突き)
スサノオ
「グボッ!」


虚無僧
「おおお前は神木村で見かけた
白きオオカミではないか」
虚無僧
「ワシは仏に仕える身…全國を行脚し
仏法を説いているのだが―」
虚無僧
「この世に汚れた場所の
何と多いことか」
虚無僧
「…ここにも感じるぞ
凍り付くように冷たい妖気を!」
虚無僧
「良く目を凝らして見るがいい
ホレお主の後ろに…」
(妖怪と戦闘)
虚無僧
「普通の人間には見えぬ戦い
ワシには見えたぞ…」
虚無僧
「戦いにかかった時間は…
ズバリ○○秒だ!」
虚無僧
「フム…
中々良い戦いを見せてもらった」
虚無僧
「お主の通力は
いつ見ても見事なものだな」


虚無僧
「妖気は晴れたものの…未だに
この村には生気がないわい」
虚無僧
「神聖なる山颪に守られた風の村…
その風の神殿が死んでおるのだ」


(竹取翁に近付く)
竹取翁
「フニャ…参った参った
こりゃ参った事になったなぁ…」
竹取翁
「…ン?」
竹取翁
「ハァこりゃかわいいオオカミさんだねぇ」
竹取翁
「ねぇオオカミさん
今ワシ参っちゃってるの…」
竹取翁
「見ての通りワシは
竹細工作りを生業にしてるんだけど―」
竹取翁
「材料の竹を取る事が
出来なくなっちゃってさ…」
竹取翁
「…こんな事相談されても
オオカミさん迷惑だよねぇ?」
『 竹細工職人 竹取翁 』
イッスン
「じいさん…オオカミ相手に相談なんて
よっぽど困ってんだなァ」
竹取翁
「ああ…妖精さんも
聞いてくれる?」
竹取翁
「ワシ…いつも高宮平の笹部郷
竹を取っているんだけど―」
竹取翁
「最近その竹やぶに
入れてもらえなくなっちゃったの」
竹取翁
「笹部郷に住むスズメ組
急に入り口を閉めちゃってさ…」
竹取翁
「あ〜あ竹細工が作りたいなぁ」
竹取翁
「ワシの人生には
もう竹細工しかないのよね…」
竹取翁
「それに…
もうすぐお祭りが始まるから―」
竹取翁
「そこで売る竹細工を
早く間に合わせないとねぇ」
イッスン
「何だい何だい
辛気臭ぇ顔してよォ!」
イッスン
「アマ公こりゃめんどくせぇ話
聞いちまったなァ…」


竹取翁
笹部郷に生えてる竹は
竹細工にピッタリの質なんだよね」
竹取翁
「だけど笹部郷に住むスズメ組
何を言っても中へ入れてくれないし…」
竹取翁
「フニャ…竹細工が作りたいなぁ」
竹取翁
「ワシの人生には
もう竹細工しかないのよね…」
竹取翁
「それに…
もうすぐお祭りが始まるから―」
竹取翁
「そこで売る竹細工を
早く間に合わせないとねぇ」
イッスン
「アマ公こりゃめんどくせぇ話
聞いちまったなァ…」

(頭突き)
竹取翁
「フニャッ!」
イッスン
「アマ公…じいさんにじゃれ付く時は
手加減しろって言ってるだろォ!?」


(光る竹を調べる)
イッスン
「はァ〜こりゃまたずいぶんと
リッパな大竹じゃねェか」
イッスン
「…竹取のじいさん
本当に竹細工が好きなんだなァ」


イッスン
「それにしても…
この馬鹿デカい大竹―」
イッスン
「ほんわか怪しく
光ってやがるぜェ」
イッスン
「…中に何か入ってたりしてなァ!」


(家の中を調べる)
イッスン
「コラコラコラ! そうやって
何でもかんでも食ったら腹壊すぜェ!」


(地蔵を調べる)
イッスン
「これは道中の安全を祈願する
お地蔵さんだなァ」
イッスン
「長い間ほったらかしにされて
すっかり苔生してるぜェ…」


(頭突き)
フセ姫
「そ…そんな殺生な…」


フセ姫
「な…何と言う事か…」
フセ姫
「不覚にも一瞬の隙を突かれて
妖怪に憑かれてしまうとは…!」
フセ姫
「せっかく妖怪たちの侵攻から
村を守っていたものを―」
フセ姫
「このままではこの村は
タタリ場に変えられてしまいます!」
フセ姫
「ああもうダメ…
力が…抜けていく…」
(フセ姫に憑いていた青天邪鬼と戦闘、終了後村の妖気が消える)
フセ姫
「…!?」
フセ姫
「い…いつのまにか妖気の呪縛から
解き放たれている…?」
フセ姫
「なぜかはわかりませんが
とにかく助かったようですね…」
イッスン
「姉ちゃん
一体何があったんだィ?」
フセ姫
「おや?」
フセ姫
「そなたは…もしや
我ら里見一族の使いの者では?」
フセ姫
「…いえ見たところ
そうではなさそうですね」
フセ姫
「…とは言え何かの助けに
なってくれるかも知れませんから―」
フセ姫
「せめて話だけでも
聞いて行ってはくれませんか?」
イッスン
「ヘッへキレイな姉ちゃんの話なら
幾らでも聞いてやるぜェ!」
フセ姫
「…ありがとう
私は風神宮に仕える巫女フセ姫です」
『 風の村のフセ姫 』
フセ姫
「風神宮というのはこの神路岳の
頂に建てられた建物で―」
フセ姫
「山に住む風神様を祀った
神殿なのです」
フセ姫
「神路岳から吹き下ろす山颪は
妖怪を撥ね退ける力を持ち―」
フセ姫
神風と呼ばれて昔から
村の守りと崇められてきました」
フセ姫
「ところがある時を境にその神風が
プッツリと止んでしまったのです」
フセ姫
「そのためこの村の中まで
妖怪どもが忍び込むようになり―」
フセ姫
「最後の宮司の私までもが
取り殺されるところでした」
フセ姫
「全ては…全てはあの
恐ろしい怪物の所業なのです!」


フセ姫
「おや
話の続きを聞いてくれるのですか?」
フセ姫
「神風が止んだ理由…
それはただ一つしかありません」
フセ姫
「炎群の者赤カブト
フセ姫
「…そう呼ばれる物の怪が
風神宮に取り憑いているからなのです
フセ姫
「赤カブトはこの一帯の
妖怪たちを束ねる首領で―」
フセ姫
「百年もの昔から
高宮平に棲み着いておりました」
フセ姫
「代々風神宮の神主を務める
我ら里見家は―」
フセ姫
「赤カブトの一派と永きに渡って
戦い続けて参りましたが…」
フセ姫
「一年前神主が病に倒れたところを
攻め込まれ―」
フセ姫
「神主は打ち殺され風神宮は
赤カブトの手に落ちたのです」
イッスン
「聞いた事あるぜェ
里見家の頭首が妖怪に殺された話は…」
フセ姫
「赤カブトを退治すれば
必ず神風は蘇るはずなのですが…」
フセ姫
「神殿は邪悪な結界で閉ざされ
未熟な私にはどうする事も出来ません」
フセ姫
「もはや残された希望はただ一つ…」
「里見家に仕えるあの戦士たちのみ!」


フセ姫
「赤カブトを退治する唯一の希望
それは…」
フセ姫
「犬神里見八犬士しかおりません!」
フセ姫
「里見八犬士は古くから里見家に仕え
風神宮を守ってきた戦士たち…」
フセ姫
「平和の使者としてナカツクニ全土に
遣わせていますが―」
フセ姫
「彼らの力が集まれば赤カブトの
結界など容易く打ち破れるでしょう」
イッスン
「ヘェ! …じゃあその八犬士サマを
サッサと呼び戻したらどうだィ?」
フセ姫
「それが…彼らには
既に召集をかけてあるのですが―」
フセ姫
「未だ戻る者はおらず
音信も途絶えたままなのです」
フセ姫
「この村に戻って来ている気配は
感じるというのに…」
フセ姫
「もしも妖怪に襲われ
怪我でもしていたらどうしましょう!」
フセ姫
「…そうだ! オオカミやそなたの鼻なら
彼らを探し出せはしませんか?」
フセ姫
「念のためそなたに
これを渡しておきましょう」
『 里見の印籠をもらった 』
フセ姫
「この村のどこかに感じる5つの気
八犬士のものに違いありません」
フセ姫
「彼らは気難しい故里見家以外の者に
中々心を許しませんが―」
フセ姫
「その印籠を見れば
必ず私の元へ戻るはずです」
フセ姫
里見の印籠は彼らの気を感じ取り
その方角を指し示します
から―」
フセ姫
「…どうかその印籠を手掛かりに
そなたの力で彼らを探しておくれ…!」
イッスン
「ヘッへ任せておきなよォ
一人残らず無傷で届けてやらァ!」
イッスン
「…アマ公お礼はタップリ
弾んでもらおうぜェプフフフフ!」

(頭突き)
フセ姫
「キャッ!」


(風神宮に入る)
イッスン
「…何だァ?
体の透き通った兄サンが浮いてるぜェ」
ヤツフサ
「ウムッ? 私の姿が見えるとは…
そなたはどちら様かな?」
ヤツフサ
「私はヤツフサ…この一帯を
ねぐらにするしがない地縛霊だが―」
ヤツフサ
「こんな所を訪れる者に会うのは
久しぶりだ」
『 地縛霊 ヤツフサ 』
ヤツフサ
「…と言っても私の目は光を失い
もはや物を見る事は出来んがな」
ヤツフサ
「その代わり心の目は
人の本当の姿を教えてくれる」
ヤツフサ
「そなたは何とも美しい女性のようだが
まさかこの風神宮に用事でも?」
ヤツフサ
「…しかしやめておきなさい」
ヤツフサ
「ここは今や神を祀る神殿ではなく―」
ヤツフサ
「恐ろしい物の怪に支配された
タタリの吹き溜まりのような場所だ」
ヤツフサ
「そなたのような美しい女性の
来るような所ではない」
イッスン
「美しい女性って…
お前の事かよ毛むくじゃらァ!?」
イッスン
「プッハハハ!
こりゃケッサクだぜェ!!」
ヤツフサ
「ウムッ!? もう一人…女性の肩に
奇怪な鼻くそのような妖怪が?」
ヤツフサ
「くわばらくわばら…
もはやこの村もおしまいか…」
イッスン
「は…鼻くそ!?
だ だ だ 誰の事を言ってんだィ!!」


ヤツフサ
「高宮平を見下ろして泰然と立つ
この霊峰神路岳」
ヤツフサ
「かつては神聖なる山颪神風を吹かせ
村には妖怪一匹寄せ付けなかったが…」
ヤツフサ
「妖怪の首領赤カブトが風神宮に
攻め入った日から風はすっかり止みー」
ヤツフサ
「神の守護を失った村は妖怪の被害に
晒されるようになってしまった」
ヤツフサ
「だが…物の怪に奪われたのは
神風だけではない」
ヤツフサ
「この神殿には水晶で作られた
果実の置物
が奉納されていて―」
ヤツフサ
「その名も水晶のヘビイチゴと言い
八つ首の大蛇の呪いを祓う力があった」
イッスン
「水晶のヘビイチゴ…?」
イッスン
「…ああっ! あのインチキ野郎が
探していたモノじゃねェか!」
ヤツフサ
「まぁ昔話に語られるのみで
その力の真意の程は明らかではないが…」
ヤツフサ
「いずれにしても風神宮が赤カブトに
支配されている今はどうする事も出来ん」


ヤツフサ
「この風神宮には水晶で作られた
果実の置物
が奉納されていて―」
ヤツフサ
「その名も水晶のヘビイチゴと言い
八つ首の大蛇の呪いを祓う力があった」
ヤツフサ
「まぁ昔話に語られるのみで
その力の真意の程は明らかではないが…」
ヤツフサ
「いずれにしても風神宮が赤カブトに
支配されている今はどうする事も出来ん」
ヤツフサ
「さぁ娘さん…こんな危険な所へ
近付くのはおやめなさい」


(入り口を調べる)
イッスン
「これが風神宮とやらの入り口かィ?
岩戸でキッチリ塞がれてるぜェ」
イッスン
「穴ボコが八つばかし空いてるけど
こりゃ一体何の穴だァ?」